ギターを弾いているときはアトピーを忘れることができた

こんにちは。アトピーと付き合い始めて30年以上のタカヒロです。

 アトピーが重症化していた20歳前後。私は身体も心もアトピーでボロボロだった。先の見えないアトピーとの戦いで孤独になり不安で押しつぶされそうな毎日を送っていた。そんな中、心の支えになったのがギターだった。ギターを弾いているときだけが幸せだった。

 当時はアトピーが最悪の状態なので、大学に行ってもなるべく人に見られないようにしていた。そして授業が終わると速攻で家に帰っていた。別にやることなんてない。家に帰っても一人だ。一人で強烈なかゆみと戦い完膚なきまでに叩きのめされ敗北。狂ったように掻きむしってスッキリして自己嫌悪を味わう。その繰り返しだった。どんどんアトピーは悪化し半分引きこもりのような状態になっていた。

 一人で過ごすことの多かった私だったが音楽番組は大好きだった。ダウンタウンの「HEY!HEY!HEY! 」や中居君と石橋貴明の「うたばん」、徳光さんの『速報!歌の大辞テン』なんかは録画してまで見ていた。音楽番組を見ているとテンションが上がった。アトピーで絶望的な毎日を送っていたのだが気分が高揚したのだ。

 音楽番組を見ていて「あんな風にギターが弾けたら楽しいだろうな」と思うようになった。アトピーとの戦いで精一杯だったのもあるが無趣味だった私はギターに興味を持つようになった。「ギターなら誰かと一緒にやらなくても一人でできる」と思った。そこでお金を貯めギターを買うことにした。

 最初に買ったのは2万円ぐらいのモーリスのギターだった。嬉しかった。嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。逃げるように大学から帰ってきては何度も何度も練習した。「Go!Go!GUITAR」と言うギター雑誌を買っては初心者向けの曲を練習した。スピッツやル・クプル、PUFFYの曲は弾きやすかったように覚えている。

 ギターを弾いているときは自分がかっこ良いように思えた。アトピー悪化で皮膚から浸出液が流れ出ている自分のことをかっこ良いように思えたのだ。もちろん妄想だけどギターを弾いているときは没頭しアトピーのことを一瞬でも忘れることができたのだ。「アトピーでもギターがあればそれでいいや」とも思えるほどになった。それだけギターが好きになった。ギターが私の生きる希望になった。大袈裟ではなく本当にギターのおかげで絶望的な日々を生き続けることができたように思う。希望がなければ生きることはできないから。

 あれから20年。アトピーが良くなった私はギターを触らないようになった。部屋の片隅で埃をかぶっている。役目を終えたように寂しく佇んでいる。でもギターがあったから今があると思っている。だからもう一度弾いてみようかな。当時よりも下手になっているだろうが弾いてみようかな。またあのときのように高揚することができるかもしれない。

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