アトピーの私がガイドライン2016年版を読んで思ったこと~Part4~

こんにちは。アトピーと付き合い始めて30年以上のタカヒロです。

 前回に続き、「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」読んでみて感じたことをお伝えする。最初にガイドラインを抜粋し、そのあと主観的な意見を書いていく。

日常生活に支障がない状態を目指す

VI.治療 1.治療の目標
症状がないか,あっても軽微で,日常生活に支障がなく,薬物療法もあまり必要としない状態に到達し,その状態を維持することである.また,このレベルに到達しない場合でも,症状が軽微ないし軽度で,日常生活に支障をきたすような急な悪化がおこらない状態を維持することを目標とする.

 治療の目標として「完治を目指す」ような表現はされておらず「日常生活に支障がない状態を保つこと」と記載されている。この文からも残念ながらアトピーは完治しないことが見て取れる。ただ日常生活に支障がなければ、それで十分ではないかと思う。

 日常生活に支障がない状態とは、肌荒れや炎症で人の目を気にしたり、かゆみで仕事や睡眠に影響がでないことをさすのだろう。適切な薬物治療や生活習慣の改善によって、この状態に持っていくことは可能だ。重症アトピーを経験した私でも今はこの状態を保つことができている。

重症アトピーからの帰還~私がアトピー改善のために行った3つのこと~参照

炎症をコントロールすることが最善の治療法

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VI.治療 2.治療方法
アトピー性皮膚炎は遺伝的素因も含んだ多病因性の疾患であり,現在,疾患そのものを完治させうる治療
法はない.・・・薬物療法で炎症を制御することは,アトピー性皮膚炎の悪化因子を減らすことにもなる.

 ここではっきりと書かれている。アトピー性皮膚炎を完治させる治療法はないと。アトピー性皮膚炎は色々な要素により発症している病気なので「これをすれば完治する」と言うものがないのだ。もし医学の進歩で完治できるような治療法が見つかればノーベル賞ものの発見だろう。そんな夢のような治療法が早く見つかれば嬉しい。

 現時点では完治させる治療法はないが、悪化因子を減らし症状を抑えることは可能だ。そのためには炎症を制御することが最善の方法なのだ。

アトピー治療にステロイド外用薬は必須

VI.治療 2.薬物療法 (1)抗炎症外用薬
アトピー性皮膚炎の炎症を十分に鎮静するための薬剤で,有効性と安全性が科学的に十分に検討されている薬剤は,ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏(topical calcineurin inhibitor;カルシニューリン阻害外用薬)である.

 やはりアトピー性皮膚炎の炎症を効果的に抑える薬はステロイド外用薬とプロトピック軟膏しかないようだ。アトピーは炎症を長引かせることが良くないので、速やかにステロイド外用薬やプロトピック軟膏を用いることが必要なのだ。

 30年以上アトピーと付き合ってきて、色々な治療法を試してきた。漢方や青汁、如何わしい健康食品など。しかしそのどれもがステロイド外用薬以上の効果を発揮することはなかった。ここで書かれている通り、ステロイド外用薬やプロトピック軟膏を適切に使用することが一番効果的なのだ。

弱いランクのステロイド外用薬を使いたくなるが・・・

VI.治療 2.薬物療法 (1)抗炎症外用薬 a.ステロイド外用薬 1)ランク
個々の皮疹の重症度に見合ったランクの薬剤を適切に選択し,必要な量を必要な期間,使用することが重要である.

 ステロイド外用薬のランク選択はとても大切だ。症状に合わない弱いランクのステロイド外用薬を選択してしまうと、ズルズルと症状が長引き炎症を抑えることができないからだ。

 あるときアトピーが悪化し医者から強いステロイド外用薬を処方してもらった。ただステロイド外用薬の副作用が心配になり自己判断で弱い薬にかえてしまった。すると症状はすぐに悪化し結局は更に強いステロイド外用薬を使わざるを得なくなった。このことから、適した強さのものを必要な期間使用することがとても大切だと実感した。

アトピーには軟膏タイプが一番?

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VI.治療 2.薬物療法 (1)抗炎症外用薬 a.ステロイド外用薬 2)剤型
乾燥を基盤とする本症の治療には軟膏を選択するのが基本である.一方で,夏期など軟膏の使用感が外用アドヒアランスを低下させる場合には,びらん面や搔破痕を避けてクリーム基剤を選択することもある.

 私はもっぱら軟膏を使っている。アトピーに対しては他の剤形よりも軟膏が一番合っているような気がする。以前「伸びが良く塗りやすいだろう」とクリーム剤を使ったことがある。しかし、皮膚に留まっている時間が短いような気がして効果も弱く感じた。また、傷があると刺激感が強く現れヒリヒリすることもある。やはりアトピーには軟膏タイプが一番合っている気がする。

べとつくぐらいたっぷり塗る

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VI.治療 2.薬物療法 (1)抗炎症外用薬 a.ステロイド外用薬 3)外用量
第2指の先端から第1関節部まで口径5mmのチューブから押し出された量(約 0.5 g)が英国成人の
手掌で 2 枚分すなわち成人の体表面積のおよそ 2% に対する適量であることが示されている(finger tipunit).

 経済的なことを考えたりステロイド外用薬の副作用が心配になり、薬をできるだけ薄く塗ってしまうことはよくある。また無知な医師や薬剤師が「ステロイド外用薬は薄く伸ばして塗ってください」と説明することもある。ただこれでは治療効果は上がらない。そうだったのか!ステロイドはベタベタぐらいがちょうど良い!?参照。ステロイド外用薬はinger tipunitを参考にして、べとつくぐらいたっぷり塗ることで期待した効果が発揮される。躊躇せず塗ることが大切だ。

塗り薬は1日2回塗る方が良い

VI.治療 2.薬物療法 (1)抗炎症外用薬 a.ステロイド外用薬 4)外用回数
急性増悪の場合には 1 日 2 回(朝,夕:入浴後)を原則とする.炎症が落ち着いてきたら 1 日 1 回に外用回数を減らし,寛解導入を目指す.

 私は炎症が落ち着いてきても1日2回の塗布は欠かさない。1日1回だけの塗布だと皮膚が乾燥してしまい悪化するからだ。更に朝にもシャワーを浴びてそのあとにステロイド外用薬を塗布している。シャワーを浴びてから塗布すると保湿作用も高まるのでおススメだ。炎症が落ち着いてきたら1日1回に外用回数を減らすと記載されているが、私はあまりおすすめできない。

突然の脱ステロイドは絶対にダメ!

VI.治療 2.薬物療法 (1)抗炎症外用薬 a.ステロイド外用薬 5)外用中止
炎症症状の鎮静後にステロイド外用薬を中止する際には,急激に中止することなく,寛解を維持しながら漸減あるいは間欠投与(プロアクティブ療法(後述)を含む)を行い徐々に中止する.

 ステロイド外用薬を突然中止することは絶対にやってはいけないことだ。突然の脱ステロイドはアトピーを急激に悪化させてしまう。ステロイドの副作用が心配で不安になり脱ステロイドを行う人もいると思うが、その先に待っているのは「地獄」だ。脱ステロイドで地獄の生活を送っちゃったよ〜高校時代編〜脱ステロイドで地獄の生活を送っちゃったよ〜大学時代編〜参照。

 ステロイド外用薬を減らしていくなら寛解を維持しながら医師の指示のもとに行うことが大切だ。そしてガイドラインに記載されている通り間欠的には使用した方が良いだろう。私も顔の調子が良いときは、ステロイド外用薬をやめて白色ワセリンだけを塗ることがある。ただし、少しでも「赤みがでてきたな」と思ったら迷わずステロイド外用薬のロコイド軟膏を使用している。

乳幼児でも速やかに炎症を抑えることが大切

VI.治療 2.薬物療法 (1)抗炎症外用薬 a.ステロイド外用薬 6)乳幼児,小児
効果が見込めない場合や得られない場合など,十分な管理下で高いランクのステロイド外用薬を使用し,強い炎症の状態を長引かせることなく速やかに軽快させることが必要な場合がある.

 私の娘も乳幼児のころからアトピーでその経験上、炎症が強いときは速やかに高いランクのステロイド外用薬を使った方が良いと思った。乳幼児だからと言って症状に合わない低いランクの薬を使い続けても炎症をズルズルと長引かせるだけだ。高いランクのステロイド外用薬はその分効果も高いので、素早く炎症を抑えることができる。それに高いランクのステロイド外用薬でも一時の使用ならなんら副作用は問題にならない。

 また我が子がアトピーの症状で苦しんでいるのを見ているのは本当に辛い。自分のアトピーが悪化するよりも辛い。だから親の精神衛生上も症状に合った高い薬で速やかに炎症を抑えることが必要だと思う。

ステロイド外用薬を長期連用しないようにと言うが・・・

VI.治療 2.薬物療法 (1)抗炎症外用薬 a.ステロイド外用薬 7)顔面
顔面や頸部などは,高い薬剤吸収率をもち,ステロイド外用薬による局所副作用の発生に特に注意が必要
な部位であるため,長期間連用しないように注意する.・・・顔面はタクロリムス軟膏の高い適応がある部位であり,そのガイダンスに従って使用することも積極的に考慮する.

 ステロイド外用薬を長期間使用しないよう記載されているが、そうはいかない場合もある。ステロイド外用薬でないと炎症を抑えることができないときもあるのだ。また、プロトピック軟膏(タクロリムス軟膏)は皮膚への刺激感が強く使えないこともある。私は30年以上顔にステロイド外用薬が使っているが局所性の副作用は特に気にならない。30年以上顔にステロイドを塗っているけど何か?参照。

ステロイド外用薬の副作用は大したことない

VI.治療 2.薬物療法 (1)抗炎症外用薬 a.ステロイド外用薬 8)副作用
適切に使用すれば,全身的な副作用は少なく,安全性は高い.・・・局所的副作用については,皮膚萎縮,毛細血管拡張,ステロイドざ瘡,ステロイド潮紅,多毛,皮膚萎縮線条,細菌・真菌・ウイルス性皮膚感染症の悪化などが時に生じうるが,皮膚萎縮線条を除いて多くは中止あるいは適切な処置により軽快する.

 ステロイド外用薬の副作用については、誤解されている部分が大いにある。これはメディアが過大に伝えた影響が大きいだろう。確かに副作用が現れることもあるが、そこまで大袈裟なものではない。

 30年以上ステロイド外用薬を使ってきて現れている副作用と言えば、皮膚萎縮(皮膚が薄くなる)ぐらいだ。また白内障も現れているが、これはステロイド外用薬の副作用とは思っていない。脱ステロイドをしていた時期に急激に悪化しステロイド外用薬を適正に使用して症状が落ち着いてからは進行していないからだ。

抗菌薬の配合は必要ない

VI.治療 2.薬物療法 (1)抗炎症外用薬 a.ステロイド外用薬 9)抗菌薬併用の是非
抗菌薬の添加はステロイド単剤外用に比しアトピー性皮膚炎の症状改善に優位性を認めないことから,皮膚炎の症状の改善を目的にする場合にはステロイド単剤でよい.

 じゅくじゅくした症状や酷い化膿を伴う場合は抗菌薬の添加が必要かもしれないが、日常的に私のアトピーの症状で抗菌薬が必要なケースはほとんどない。ここに書いてある通りステロイド外用薬単剤で問題ない。市販薬でステロイド外用薬を購入するときには、抗菌薬が配合されているものがあるので注意が必要だ。

ステロイド外用薬の誤解を解くために

By: www.audio-luci-store.it

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VI.治療 2.薬物療法 (1)抗炎症外用薬 a.ステロイド外用薬 10)ステロイドに対する不安への対処
ステロイド外用薬に対する誤解(ステロイド内服薬の副作用との混同,およびアトピー性皮膚炎そのものの悪化とステロイド外用薬の副作用との混同が多い)から,ステロイド外用薬への必要以上の恐怖感,忌避が生じ,アドヒアランスの低下によって期待した治療効果が得られない例がしばしばみられる.また不適切な使用により,効果を実感できないことでステロイド外用薬に対する不信感を抱く事もある.その誤解を解くためには十分な診察時間をかけて説明し指導することが必要である.

 確かにステロイド外用薬の副作用は誤解されていることが多い。「ステロイド外用薬を使ったら副作用で皮膚がボロボロになる」「取り返しのつかない副作用が現れる」などと必要以上に心配する人がいる。ただこれらは誤った情報だ。

 例えば「ステロイド外用薬を使うと白内障になる」と言われることがあるが、前述もしたようにこれは間違いだ。アトピーによる炎症やかゆみによる眼周囲への叩打癖が白内障の原因と言われている。つまりステロイド外用薬の副作用どころか、ステロイド外用薬を適正に使わず炎症を悪化させるから白内障になってしまうのだ。

 医師がステロイド外用薬の安全性やリスク、今の症状への必要性などをしっかり伝えることが大切だ。待合室に溢れ変える患者を見れば、そこまで時間をかけて説明することが難しいかもしれない。ただ、正しい情報を伝えないとアトピー治療は進展しないように思う。また医師だけでなくアトピー治療に関わる看護師や薬を渡す薬剤師などもしっかり知識を習得して患者に伝えていく必要があるだろう。

 アトピーの私がガイドライン2016年版を読んで思ったこと~Part5~に続く

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