アトピーの私がガイドライン2016年版を読んで思ったこと~Part8~

こんにちは。アトピーと付き合い始めて30年以上のタカヒロです。

 前回に続き、「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」読んでみて感じたことをお伝えする。最初にガイドラインを抜粋し、そのあと主観的な意見を書いていく。

アトピーには心のケアも必要

VI.6.心身医学的側面
アトピー性皮膚炎は重症化すると患者および家族のQOL に大きな影響を与える.またストレスで悪化することもよく知られており,皮膚症状が心理社会面に影響し,心理社会的因子が皮膚症状に影響するという心身相関がみられ,遷延化している例では悪循環が持続していることが多い.そのため,診療においては心身医学的配慮が必要な場合も少なくない.

 「まわりは自分のことなんてそこまで気にしていない」そんなことはわかっている。でもアトピーが悪化するとどうしてもまわりの目が気になってしまう。「こんな酷い肌を見られるのは嫌だ」「こんな顔で人と会うことなんてできない」アトピーが酷いとき、いつも私はこんなことを思っていた。そしてなるべく人と接しないように暮らしていた。要するに皮膚症状が心理社会面に影響しているのだ。

 また、恋人や友人、会社の同僚などとトラブルがあるとアトピーの皮膚は悲鳴をあげる。「病は気から」とはよく言ったもので、精神的ストレスがかかるとアトピーはすぐに悪化してしまうのだ。独身時代に彼女と大喧嘩して1週間程、連絡がとれなかったことがある。「どうしよう・・・このまま別れることになるのかな」とかなりへこんでいた。気持ちが滅入っていくと共に、その1週間でアトピーはどんどん悪化していった。幸い仲直りすることができたのだが、仲直りをしたとたん、アトピーの病状は良くなっていったのだ。要するに心理社会因子が皮膚症状に影響しているのだ。

 経験からもアトピーに心身相関がみられることはよくわかる。病院などで心のケアをすることができるなら、それはとても意義のあることだと思う。

アトピーそれとも合併症?

写真(2015-10-14 22.29)

VI.7.合併症
アトピー性皮膚炎では,細菌・真菌・ウイルス感染症を合併しやすい.特に皮疹の悪化による皮膚バリア機能の破綻や皮膚免疫活性の低下にともなって,これらの感染症を合併する頻度が高くなり,しかも重症化しやすいので,皮膚を良好な状態に保つよう留意することが重要である.

 アトピーと付き合っていると、他の皮膚病を発症することはよくある。私の場合、ニキビ様の発疹は度々現れるし、ウイスル感染症であるカポジ水痘様発疹症も何度か発症している。皮膚自体が弱いのでこれらの合併症が現れるのはある程度仕方がないことだと思っている。

 ただ、合併症が現れたときに「それがアトピーによる症状なのか?それとも合併症なのか?」の判断がとても大切になる。以前、カポジ水痘様発疹症が現れたときにアトピーが悪化していると勘違いして、ステロイド外用薬を塗ってしまい酷い目にあったことがある。詳しくはステロイドはダメ!おでこにアトピーとは違うカポジ水痘様発疹症参照。

 だから「あれ?いつもと皮膚の様子が違うぞ」と思ったときは早急に皮膚科医に診てもらうことが大切だ。

アトピーにL-92乳酸菌はどうなの?

VI.8.その他の療法
乳酸菌飲料(L. acidophilusL-92)の飲用によりアトピー性皮膚炎の臨床症状の軽減が認められたという報告がなされた.・・・現時点では,プロバイオティクスは,アトピー性皮膚炎の症状改善に推奨するだけの明確かつ十分なエビデンスはあるとは言いがたい(CQ17:エビデンスレベル:B).

 今、私が気になっているのが「乳酸菌飲料」だ。インターネットを見ているとよく目にするのだが、宣伝広告がでてきて「アトピーにL-92乳酸菌」などと謳っている。乳酸菌が免疫をつかさどる細胞に働きかけ、抗アレルギー作用を発揮するらしい。

 乳酸菌と言うと腸内環境を改善するイメージがあり、アトピーにも良いように思う。「腸内環境を良くするとアトピーが改善する」ことは経験上間違いないと確信している。だから「一度、L-92乳酸菌を試してみたいな」と思っている。ただ、ガイドラインではエビデンスレベルがBになっており、十分な根拠がないと記載されているのが気になるところだ。

入院治療で炎症を速やかに改善させる

By: Ada Be

By: Ada Be

VI.9.入院治療の適応
入院治療により,日常の環境から離れて外用療法を徹底し,時間的余裕の中で患者と治療者の信頼関係を確立し,悪化因子や外用方法,スキンケア方法を見直し,これらの問題を早期に解決することを可能とすることが期待できる.・・・入院治療の目標は集中した外用治療によって皮膚炎を早期に寛解させることと,教育的指導を行い,アドヒアランスを高めることにある.

 私も今まで2回程入院治療をしたことがある。どうしようもなくアトピーが悪化し、外来治療では手に負えなくなったからだ。入院中はステロイド外用薬をたっぷり塗ってもらった。そしてその上に亜鉛華単軟膏と呼ばれるステロイド外用薬の効果を高める薬を塗ってもらった。そして包帯でぐるぐる巻きにされた。まるでミイラの様な状態だった。そんな治療を一週間程行うと、アトピーは驚く程良くなった。

 勿論、入院治療中は強いステロイド外用薬を使ったから良くなった訳だ。ただ、ずっとアトピーの荒れた肌を見てきて「これが自分の肌なんだ」と思っていたので、入院治療により良くなった肌をみると「こんなに奇麗になるものなのか」と驚いた。そしてものすごく嬉しくなった。「自分の肌もこんな状態になることができるのだ」と思ったのだ。この経験はとても自信になったので、入院治療をして本当に良かったと思っている。

 また、アトピーは炎症を速やかに改善させることが一番大切なので、例え強いステロイド外用薬を使うことになっても、症状が酷い場合は入院治療で徹底的に治療することが大事だと思う。

自己判断で変更しないように

VI.10.教育
アトピー性皮膚炎の患者もしくはその両親に対する様々な患者教育が行われ,その有用性が報告されている.

 アトピー性皮膚炎に対する患者教育はとても大切だ。自分の皮膚を見る度に不安に襲われどうしてよいのかわからなくなることがあるからだ。医療不振に陥ったり、自己判断で薬物治療を変更したりしてしまう。アトピー性皮膚炎に対する正しい知識を得るためにも、医師や看護師、薬剤師による患者教育は必要だろう。

病態や治療の意義を理解する

VI.11.アドヒアランス
慢性疾患であるアトピー性皮膚炎の診療では,患者や養育者が疾患の病態や治療の意義を十分に理解して“積極的に”治療方針の決定に参加し,その決定に従って“積極的に”治療を実行し,粘り強く継続する姿勢,すなわち治療のアドヒアランスを高める配慮が大切である.

 アトピー性皮膚炎ほど患者が治療の意義を理解し、積極的に実践しなければいけない病気はない。何年、何十年と寛解と増悪を繰り返す疾患であるアトピー性皮膚炎。「この治療で本当に良いのか?」「もっと良い治療方法があるのではないか?」「この薬は副作用が強いのではないか?」など不安に思うことがたくさんでてくる。実際、私も何度となく自分が行っている治療に不安を感じてきた。

 ただ、そこでアトピーの病態や治療の意義を十分に理解していればそこまで不安になることはない。そのためには前述したように医療者による患者教育が大切だ。また、アトピー性皮膚炎に対する患者自身による勉強も大切だと思う。ガイドラインや医学書などで自分の病気について勉強することをおススメする。

アトピーの治療方針を説明すべき

By: www.audio-luci-store.it

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VI.12.治療の手順
確実な診断と重症度の評価の後,患者の皮疹の状態に応じて適切な治療をうまく組み合わせて行うことが重要である.特に初診時には,アトピー性皮膚炎の病態や治療法を分かりやすく具体的に説明して認識を共有することが大切である.

 患者の病態によって使う薬は変わってくる。症状が酷い場合はランクの高いステロイド外用薬を使うことになるだろう。そんなとき、患者には今後の治療方針、治療の目標・ゴールを十分説明すべきだ。この説明がないと患者は不安になってしまう。

 今は情報社会でアトピーに関する情報もインターネットですぐに検索することができる。自分が使っている薬がランクの高い薬で副作用のことが過大に記載されていれば「本当にこのまま使っていて良いのだろうか?」と不安に思ってしまう。そこから医療不信に陥り、結果的に自分の不利益になってしまうこともある。

 だから初診時にアトピーの病態や治療法を分かりやすく具体的に説明して認識を共有することはとても大切なことだと思う。

アトピー性皮膚炎診療ガイドラインを読んでみて

 以上、8回に渡って「アトピーの私がガイドライン2016年版を読んで思ったこと」を書いてきた。

 ガイドラインを読んで率直に思ったのは「アトピー治療にはやはりステロイド外用薬が絶対に必要」と言うことだ。アトピーは速やかに炎症を抑えることが一番大切なことで、それにはステロイド外用薬が必須なのだ。

 また、ステロイド外用薬を定期的に(週2回など)塗布し寛解状態を維持するプロアクティブ療法が新しく記載されている点は興味深かった。

 このガイドラインに則った治療法が更に広まり少しでもアトピー患者の病状が良くなればと思う。

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