アトピーの私がガイドライン2016年版を読んで思ったこと〜Part1〜

こんにちは。アトピーと付き合い始めて30年以上のタカヒロです。

 診療ガイドラインとは医師が患者の治療方針・方法を決める際に道しるべになるもの。要するに「これを参考にして治療を進めていくといいよ」と言われるものだ。

 アトピー性皮膚炎にも診療ガイドラインがあり、2016年に改訂された。30年以上アトピーと付き合っている私にとってはとても気になるものだ。「どんな治療が標準的なのか?」「新しい治療方針が打ち出されているのか?」「ステロイド外用薬に関してはどのように書いてあるのか?」などとても気になる。

 そこで今回はインターネットで「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」を閲覧することができたので、読んでみて感じたことをお伝えする。最初にガイドラインを抜粋し、そのあと主観的な意見を書いていく。

遷延化し重度の症状をかかえている患者が多い

第I章 I.はじめに
アトピー性皮膚炎の診療の現場では,遷延化した症状をかかえ生活の質(quality of life,QOL)の低下や社会生活の障害をきたしている患者に数多く遭遇する.

 アトピー性皮膚炎と聞くと「どうせかさつく程度の皮膚の病気でしょ」と思っている人もいるかもしれない。とんでもない。ここに書いてあるように実際には社会生活を送ることができないような重度のアトピー性皮膚炎の患者も多いのだ。

 私も脱ステロイドをしたときはとても社会生活を送ることができる状態ではなかった。かゆみが酷く炎症が強く現れていたので人と接することなんてとても無理だった。体を動かすことさえままならない日もあった。決して大袈裟に言っている訳ではない。

 この辛さは重症アトピーを経験した人でないとわからないだろうが、社会生活の障害をきたしているアトピー患者は数多く存在するのだ。私の経験上、このような患者は家にこもってしまうことが多く人を避けるように過ごすので目にすることは少ないかもしれない。ただ、かなりの数の人たちがアトピー性皮膚炎で苦しんでいるのだ。それを思うと「なんとかならないものか」と胸が痛くなってくる。

遷延化した症状を抱えてしまう原因とは?

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第I章 I.はじめに
アトピー性皮膚炎の病因が多因子であることから治療においても複数の要素を考慮する必要があるために診療および治療の方針の決定にいまだ多くの混乱が生じていることや,薬物療法の中心が外用療法という患者や養育者自身の裁量が加わりやすい不確実な要素をも持つ治療であること,ステロイド外用薬などの抗炎症外用薬による治療を忌避する傾向があること

 アトピー性皮膚炎が遷延化している原因として3つあげられている。

  1. 病因がはっきりしない
  2. 塗り薬を適切に使用できていない
  3. ステロイド外用薬に対する過剰な拒否反応がある

 確かにここに書かれている内容は思い当たる節がある。アトピー性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返す病気だ。そしてその理由がはっきりとしない。突然皮膚の調子が悪くなり「いつもと同じ生活をしているのに何でだろう?」と思うことなんて日常茶飯事だ。要するに病因がはっきりしないのだ。

 また、塗り薬を忘れたり怠ったり、塗布量が少なかったりするとすぐにかさついて赤くなってしまう。内服とは違い塗り薬はとても面倒だ。私の場合、体全体に症状が現れているので、塗るのも一苦労だ。時には面倒に思ったり、嫌になったりすることもある。ただ、塗らないと悪化するとわかっているのでしっかり塗っている。もうそれが日課になっているので苦ではないが、医師の指示通り適切に使用できない気持ちもわかる。

 更に、ステロイド外用薬に対する治療を忌避してしまうのもよくわかる。昔と比べ少なくなったとは言え、まだまだステロイドバッシングをしているサイトなどは存在する。ステロイド外用薬の副作用を全面に押し出して不安を煽るようなサイトだ。このようなサイトを見てしまうと「今、ステロイド外用薬を使っているけど、今後自分の肌は副作用でボロボロになるのではないか・・・」「今のうちにステロイド外用薬をやめないと取り返しのつかないようなことになってしまう」と不安に思いステロイド外用薬による治療を忌避してしまうのだ。私もステロイド外用薬の副作用が怖くなり脱ステロイドをしてしまったことがあるのでその気持ちはよくわかる。

 ただ、脱ステロイドを経験して思ったことは「アトピー性皮膚炎の治療にステロイド外用薬は絶対に必要」と言うことだ。確かにステロイド外用薬で副作用が現れることもある。実際、私の皮膚は副作用でかなり薄くなっており、頻繁に内出血してアザができることもある。それでもステロイド外用薬は必要なのだ。なぜならステロイド外用薬の効果と副作用を天秤にかけたとき、絶対的に効果が優れているからだ。「副作用が現れても、アトピーの症状を抑えることができるならそれでいいじゃん」と私は思っているのだ。

医者の逃げ道が治療方針の混乱を招く

第I章 I.はじめに
臨床現場での最終的な判断は,主治医が患者の価値観や治療に対する希望も十分に反映して患者と協働して行わねばならない.本ガイドラインは,症例毎の事情を踏まえて行われる医療行為の内容がここに記載されているものと異なることを阻むものではなく,医療者の経験を否定するものでもない.また逆に,本ガイドラインに記載されている内容が実施されないことをもって,実際の診療にあたる医師の責任を追訴する根拠に資するものでもない.

 患者がステロイド外用薬やプロットピック軟膏の使用を嫌がった場合は、その意向を汲むようにしなければいけないと言うことだろうか。また、ガイドライン通りの治療をしないこともあり得るし、それが間違いとも言えない。ガイドライン通りの治療を行わなくても医者に責任はないよと書いてある。

 情報化社会の現代では、患者はたくさんの情報を手にすることができる。パソコンやスマホで「アトピー性皮膚炎」と検索すると玉石混淆の情報が溢れている。それらの情報を目にした患者は治療に関して独自の価値観や希望を持つようになる。中には「ステロイド外用薬は副作用が怖いから絶対に使いたくない」と思う人もいるだろう。それらの意向を汲めと言うことなのだ。

 確かに患者の希望を反映して、恊働して治療に取り組むことは大切だ。特にアトピー性皮膚炎の場合は患者が納得して治療に臨まないと寛解は困難だからだ。ただ、医者にはなんでもかんでも患者の言うことを聞くのではなく、ステロイド外用薬やプロトピック軟膏に関しては、その有効性や安全性を十分説明する努力を行って欲しい。そうしないと脱ステロイドに走ってしまい、私のように悲惨な時期を過ごす人が増えることになるからだ。

 ガイドラインに書いてあるこの箇所は、医者の逃げ道を作っていて、更なる治療方針の混乱を招く恐れがあるような気がしてならない。

 アトピーの私がガイドライン2016年版を読んで思ったこと〜Part2〜に続く

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